お客様の人生に寄り添う、訪問看護の仕事。お一人おひとりに丁寧なケアができる環境や、お客様としっかりと関係性を築いていく魅力に惹かれ、訪問看護師として新たなキャリアを歩み始める人が増えています。 ソフィアメディで入職3年目になる管理者のHさんも、その一人。10年以上勤めた大分県の病院を離れ、訪問看護師になるために上京した理由や、転職してから気づいた訪問看護の楽しさなどについて、インタビューで詳しく伺いました。
※2021年12月時点の記事です。
学生時代からずっと温め続けていた、「訪問看護師」の夢
──看護師になる前から、訪問看護師になりたかったそうですね。そう思うようになったキッカケは何ですか?
Hさん:看護学校では、第一線で活躍しているさまざまな看護師の方のリアルなお話を聞く授業があるのですが、その中で訪問看護に携わっている看護師の方の話を聞く機会もあって。そこで聞いた話に心を大きく動かされ、一番前の席でワーワー泣きながら授業を受けたのがキッカケです(笑)。
──その授業の内容は、今でも覚えていますか?
Hさん:はい。3歳のお子さんがいらっしゃる、ガンで終末期を迎えられた30代の女性のエピソードでした。もう積極的な治療はしないと決断された後、ご自宅に戻られ、在宅療養がスタートして。お子さんのそばで残りの限られた時間を過ごされるなか、訪問看護師としてどのように携わったか、というその方のお話が私にとってはすごく感動的でした。
「訪問看護って、こんなふうに誰かの人生に関わる仕事なんだな」と感動して、感極まって泣いてしまいまして、直感的に「私が行くところはここだ!」と思ったんです。今振り返ってみても、あのときの直感は間違っていませんでしたね。
病院で10年以上キャリアを積んでから、訪問看護の道へ
──実際に看護師になってからは、病院勤務を10年以上続けられたHさん。3年前の転職時、そのタイミングで訪問看護の道に進もうと思った理由を教えてください。
Hさん:本当は、ある程度の経験を積んだら早々に訪問看護に行きたかったのですが、当時の私にとって、訪問看護のハードルってものすごく高くて…。自分一人でアセスメントし判断しなくてはいけない、そういう責任と覚悟が必要だと感じていましたので、「病院でしっかり経験を積んでから」と思っていました。
訪問看護に行こうと決意できたのは、病院で緩和ケアの認定看護師としてキャリアを積み、自分と同じ役割ができる後輩を一人育成して、引き継ぎができたかなというタイミングです。年齢的にチャレンジするなら少しでも早いほうがいいという思いもあり、すぐ転職活動を始めました。
──勤務していた大分や地元の宮崎にという選択肢もあったとは思いますが、あえて上京してソフィアメディに入ろうと思ったのはなぜですか?
Hさん:「自分が何か新しいことをするなら最先端なところに行って、学びを深めないといけないこともたくさんあるはず」と思い、上京しました。
ソフィアメディのことを知ったのは、紹介会社に勧められたのがキッカケです。最初はホームページを見て、組織やビジョンの大きさに気後れした部分があり、「私にはちょっとハードルが高いかも…」と思ったのですが、せっかくなので受けてみようかなと。
他にも1社紹介されていたのですが、自分が学びたいと思ったときにソフィアメディならバックアップがしっかりしていて安心だと思えたことと、面接がすごくアットホームで楽しかったことが入職の決め手となりました。
お客様に関わる全員がチームとなり、人生に密着できるのが訪問看護の醍醐味
──入職3年目の現在、ステーション矢口で管理者をされているHさん。ステーションの雰囲気はいかがですか?
Hさん:職種や年齢のの垣根もなく、「看護師もセラピストも、一医療者としてみんなで同じ方向を向いてやっていこうよ」という雰囲気がある職場です。笑い声が絶えず、常に会話が飛び交っていて、みんなが静かにじっとしていることなんてまずありません(笑)。
──ご自身がずっとやりたかった訪問看護の世界に飛び込んでみて、どんな感想を持ちましたか?
Hさん:訪問看護は、一つひとつの出会いがご縁だなとすごく感じています。訪問時間はほんの30分や1時間なのですが、そのひとときをご一緒させていただけるのはとてもうれしいことです。お客様の自宅で過ごせる喜びを一緒に感じ、ご本人やご家族の人生にも寄り添える仕事と感じれるので、病院では味わえなかった訪問看護ならではのやりがいを今、噛み締めています。
──今までに特に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
Hさん: 30代で脳腫瘍になってしまった男性を担当したときのことです。結婚されてまだ1年ほどだったのですが、もうあと数日のうちに…という段階になり、毎日のように訪問させていただき、ご家族に見守られながら亡くなる瞬間にも立ち会わせていただきました。
呼吸が止まり、心臓も止まったときに、妻様に目配せでお伝えすると「ありがとう、大好きだったよ」と抱きついて声をかけられていて…。また、その後にご家族の皆様でエンゼルケア(死後に行う処置、保清、エンゼルメイクなど全ての死後ケアのこと)ができるのも、訪問看護ならではの関わり方です。
──ご自宅でのお看取りだからこそできることがたくさんあるのですね。
Hさん:そうですね。ちなみに後日、病院の看護師さんともデスカンファレンス(亡くなったお客様のケアを振り返り、今後のケアの質を高める話し合い)を行いました。最期のご様子をお伝えすると、「ご家族に見守られてお亡くなりになられたのですね。良い最期でしたね」と言っていただけて。病院で働いていた時は、ご自宅に帰られた方がどのように過ごされているのかなかなかイメージすることができなかったので、今後もそういう情報をお互いに共有していきたいと思います。
私たち訪問看護だけではなく、病院やケアマネジャーさん、ヘルパーさんなど、お客様に携わった全員がチームとなって、最期までしっかりと関わらせていただける。そして、遺族であるご家族ともその後も繋がっていける。それが人生を看取ることも多い訪問看護の醍醐味なのかなと思っています。
訪問看護師は、決して一人じゃない。知識や経験が浅くてもチャレンジできる
──かつてのご自身のように、訪問看護への転職ハードルが高いと感じている方にもし声をかけてあげるとしたら、どんなことを伝えたいですか?
Hさん:「やりたい気持ちさえあれば、大丈夫!」ですかね。私自身は、しっかり病院で経験を積み、頭のてっぺんから足の先まで分かるようになってからでないと挑戦できないと思い込んでいました。でも、実際にソフィアメディに来てから、そうじゃなくても良いんだと気づいたんですよね。
ソフィアメディの看護師は、みんなそれぞれの得意分野を持っていて、足りない知識やノウハウはお互いに教え合って補っています。だから、知識が足りないことや経験が浅いことを決してマイナスに捉える必要はありません。経験していない分野があれば、他のスタッフが担当しているお客様の元に同行させてもらい学ぶこともできます。実際に、「在宅に来てからの方が知識が増えた」というスタッフの声もあります。
未経験のことは、どんどん経験していけばいいだけ。それは病院も訪問看護も同じです。周りの力を借りながら、ぜひチャレンジしてみて欲しいなと思います。